グローバルエージェンツは創立20年を迎えました。
2025年5月18日でグローバルエージェンツは創立20年を迎えることができました。まずはこの20年の間、私たちの事業に関わってくださったすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。
2005年に“ソーシャルアパートメント”というまったく新しい住まいの概念を立ち上げて以来、気がつけばホテルや飲食など、ライフスタイル全般に広がる事業へと発展してきました。当初思い描いていた未来の延長線上にある部分もあれば、まったく予想していなかった方向に進んできた部分もあり、それをこうして振り返ると非常に感慨深いです。
この20年間には、震災やパンデミックといった社会的にも大きな出来事があり、決して平坦な道のりではありませんでした。むしろ常に変化とチャレンジの連続だったとも言えます。しかし、その中でも一貫して「社会に新しい価値を生み出し、それを文化へと昇華させていく」というビジョンを信じて取り組み続けてきたことが、ここまで歩んでこられた理由だと思います。
グローバルエージェンツはソーシャルアパートメント事業からスタートしました。
グローバルエージェンツはソーシャルアパートメント事業を柱としてスタートしました。今では運営を終了してしまいましたが、記念すべき第1号物件は2006年にオープンした「ソーシャルアパートメント蒲田」でした。理想的な物件に出会うまでに内覧を100件以上して探し続けたことは、今でも強く記憶に残っています。
当時、”交流型賃貸住宅”という概念は一般的ではなく、入居者募集も難航することを想定していたため、17室という小規模でのスタートとなりました(現在の平均は60室程度)。理想通りとはいかない部分もありましたが、それでも住人同士が利用できるパブリックスペースのある暮らしが初めて実現できたときは、大きな達成感がありました。
↑ソーシャルアパートメントには一人暮らし用の個室に加えて、ラウンジやワークスペースなど住人が利用できるパブリックスペースが備わる。
結果的に、募集開始から1ヶ月も経たずに満室となり、「これはいける」という強い手応えを得たことをよく覚えています。そこから、“住まいに交流という価値を加える”という考えを軸に、運営物件を拡大していきました。
この20年を経て、
ソーシャルアパートメントの運営規模も大きくなりました。
現在では、首都圏・関西を中心に46棟・約3,000室という規模にまで広がっています。
しかし、「ソーシャルアパートメント」という新しいライフスタイルを社会に広め、文化として根づかせていくことは、決して簡単な道のりではありませんでした。
その価値を多くの人に伝えていくうえで、私たちが重視してきたのが、共用部の空間デザインによる訴求力です。あえて住宅らしさを抑え、カフェのような商業施設のデザインを取り入れることで、日常の中に非日常を感じられる空間をつくり上げてきました。入居者はもちろん、見学に訪れる方々にとっても強い印象を残すことができたと感じています。
さらに、ソーシャルアパートメントを「文化」として根づかせていくために欠かせなかったのが、入居者同士の自発的な交流を促す空間設計です。会社が主導して頻繁にイベントを開催したり、過度にコミュニティ形成に介入するのではなく、ラウンジやキッチン、ワークスペースといった“場”そのものが、自然と人と人をつなぐよう、細部にまで工夫を凝らしてきました。運営側があえて手を加えすぎないからこそ、リアルで持続的なコミュニティが育つと私たちは考えています。
ただ規模を拡大するだけでなく、こうした取り組みを通じてコンセプトを社会に広め、ライフスタイルとして文化に昇華させてきたからこそ、ここまで多くの方々に受け入れられる存在になれたのだと思います。
ホテルや飲食事業、コワーキングスペースなど、
他の領域にも事業を拡大していきました。
ホテルや飲食事業を始めた当初、「新規事業を立ち上げる」という感覚は、実はありませんでした。私たちにとっては、ソーシャルアパートメントの延長線上にある、自然な広がりだったと思います。
ソーシャルアパートメントが“1年単位”の暮らしを提供するものだとすれば、ホテルは“1日単位”、飲食は“数時間単位”のライフスタイル提案。つまり、時間軸の違いこそあれ、どれも「人と人が出会い、つながる場をどう設計するか」という共通のテーマのもとにあると考えています。
最初に手がけたホテル「HOTEL GRAPHY 根津」は、全体の7割をソーシャルアパートメント、3割をホテルとしたハイブリッド型の施設としてスタートしました。これはリスクを抑えつつ、新たな可能性を模索する挑戦でもありましたが、結果的に入居者と宿泊者の自然な交流が生まれ、ホテルとしても十分に運営できるという手応えを得ることができました。
飲食事業についても、ワールドネイバーズ護国寺の開業時に1階の外にも開いた場所に食堂ペースがあったことが出発点です。住宅街という立地では、カフェ単体での運営には難しさもありましたが、ソーシャルアパートメントと組み合わせることで、入居者にとっては「自宅にカフェのある暮らし」、地域にとっては「住宅地に開かれたカフェ」、そして私たちにとっては競合の少ないビジネスモデルと、三方よしの形を築くことができました。
こうした小さなチャレンジを積み重ねながら、現在ではLIVELY HOTELSとして全国に12棟を展開。飲食事業やコワーキング事業も、ソーシャルアパートメントやホテルに付帯する形で、順調に運営数を増やすことができています。
↑左:LIVELY HOTELSのフラッグシップであるTHE LIVELY 福岡博多/右:HOTEL GRAPHY 渋谷の1階にあるレストランGraphic Grill & Bar
事業の規模拡大や多角化に伴い、
会社としても大きな組織へと成長しています。
事業の広がりとともに社員も増え、今では多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まる組織になりました。それでも不思議と、会社のカルチャーは一貫して保たれていると感じています。
私たちは「一人ひとりが自己実現に邁進できる社会をつくる」というミッションを掲げており、そのためにも、社員自身が自己成長を実感できるような組織であることを大切にしています。とはいえ、それをマニュアル化して細かく管理しているわけではありません。むしろ、ある程度自由に任せているなかで、自然とそうした文化が育まれてきたのかもしれません。
その背景にはいくつか理由があると思いますが、やはり「人がいい」というのは大きな要因ですね(笑)。自分のやりたいことに素直でありながら、周囲と協力して物事を前に進めようとするマインドを持った人が多い。そうした人たちが集まっているからこそ、カルチャーが自然に形成され、今も変わらず受け継がれているのだと思います。
そして何より、社員一人ひとりが自分の仕事を“自分ごと”として捉えてくれている。だからこそ新しい挑戦が次々と生まれ、結果的に事業としての質も高まっている――そんな実感を強く持っています。
創立20年という節目を迎えましたが、
これからもその歩みは続いていきます。
これまで私たちは、まだ世の中に存在しない新しい価値を生み出すことに挑戦してきました。ソーシャルアパートメントをはじめ、ホテルや飲食といった各事業も、従来の枠組みにとらわれることなく、本質的な視点からアイデアを生み出し、私たちなりのスタイルで構築してきたサービスです。
そうした中で、私たちのサービスを選んでくださった方々は、ある意味で一種の“冒険”をしてくださったのだと思っています。まだ類似体験が少ない中で、未知の価値に期待し、勇気をもって一歩を踏み出してくださったことに、心から感謝しています。
これからも、新しいライフスタイルの提案を通じて、世の中に新たな価値を届けていきたいと考えています。20周年という節目を、次の成長フェーズへのスタート地点として迎えられたことをうれしく思うと同時に、今後も進化を止めることなく、新たな挑戦を積み重ねていきたいと思います。